私の泣いた体験談
父の最後の頼み事
女性/35歳/みー

癌に侵された父。
自宅で過ごせる最後の日、私は父にシチューを作りました。
ほとんど食べることはできず、それでも美味しかったと言ってくれた父。
そして部屋に父と私の二人きりになると涙を浮かべながら父が「お母さんを頼むよ」と私に言ってきました。
癌と診断された後もいつも明るく振舞っていた父。
この言葉を言うのがどれほど辛かったか、想像するだけで今でも泣けてきます。
「わかった。大丈夫だよ。でもお父さん生きてね」
父の前では泣いてはいけないとずっと思っていたのにこの時は涙が止まりませんでした。
父の言葉で別れが近づいてきているんだと実感してしまったからです。
再び入院となり日に日にやせ細って、最後は母のこと以外わからない状態になっていました。
そして父が亡くなったのがわたしが19歳、成人式を迎える前でした。
亡くなった日の夜、自宅にいた母が病院の匂いがすると言っていました。
「お父さんが最後会いに来てくれたのかな」と言っていた母を見て両親の愛を感じました。
親孝行したくてもできない悲しさ。
晴れ着姿を見せたかった。
成人したら一緒に呑みたかった。
結婚式で一緒にバージンロードを歩きたかった。
もっともっとたくさん話したかったし、大好きだよって伝えたかった。
父にしてあげたかったこと、そして父から頼まれた最後の願いを守り、これからも母にたくさん親孝行していこうと思っています。
